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「原点の扉」

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この画像は、あるCDジャケットの画像です。

10年以上前に、僕が初めて大きな仕事を頂いた時に制作した絵画でもあります。

絵画というよりは、イラストです。(今見ると、かなり下手っぴな絵ですが。)

なぜ、こんな古いものを引っ張りだしてきたのかと言うと、

この絵に込められたテーマが、僕の生きる原点の一つであるからです。

この世には、表現の方法として、絵、イラストに限らず、写真や映画、詩や小説、歌やダンスと

実に様々な表現手段が存在します。

僕は、その時々で表現手段が変わりますが、”何を表現したいのか”、

または”何が、自分を表現の世界に駆り立てるのか”・・・・と言ったものが、

この頃の自分と、今の自分と根底にあるものは全く変わっていません。

それは、簡単に言うと、「壁の向こう側に見える世界」への衝動です。

もちろん、壁に穴をほじって、

そ~っとのぞくような衝動の事・・・・ではありません・・・?
(いや、そうかもしれません・・・^^;)

一言で壁と言っても、色々な意味を含んでいるのですが、

ここでは、仮に「”心”に存在する壁」とでもしましょうか。

ようは”見えない壁”の類なんですね。

この世には、そんな壁によって曇らされたものが、沢山あるんじゃないかと。

”見えてない世界”の存在です。

いえ、”心の壁”の先にある”見えてるはずの素敵な世界”なのかもしれません。

そんな世界らしきものが、何を間違えたのか、日常からこぼれて見えるときがあります。

こぼれて見える・・・とは、ほんの一瞬、分厚い曇の隙間からのぞくようなヒカリみたいなものです。

何を見たのか覚えてないぐらいのほんの一瞬・・・・

だから、すぐに忘れてしまいます。見たことすら覚えていないかも知れません。

でも、そんな自分でも、脳裏にその破片みたいなものが残ってるときがある。

その破片が、自分を妙に引き寄せる。

一体これは何の破片なのかな?

見たことあるような見たことないような・・・・そんな破片たち。

その破片から発せられる魅力が分厚い雲で鈍らぬうちに

または、目の前の雑事に紛れてゴミ箱行きになる前に

それが何の破片なのかを一心不乱に、または思い出すように描きしるそうとする。

やがてそれが、ワクワクするような宝のありかを指し示す秘密の地図のように思えた頃、

僕は、その”何か”の核心に触れるための冒険に出かけるんです。


子供の頃は、それがいとも簡単に出来た。

だから、大人になってもそれがいとも簡単に出来るんだ。

そんなおまじないみたいな、勇気を胸に。


何度失敗して帰ってきても、絶対無理だといって何度落ち込んでも、

気づくと、また探しに出かけてます。

何度でも何度でも。

僕は、このジャケットを描いた時、そんな冒険の扉を開けてしまったのかもしれません。

そして、この扉を開けるに至ったのは、このCDに納められている男女二人のユニットが奏でる音楽と

二人の詩の世界が、僕の冒険への後押しをしてくれたからでもあります。

僕がその二人の世界を語るのは、いろんな意味で気が引ける部分もあるのですが、

あえて、僕なりに感じたのは、

「突き抜けた先に、すごくまぶしいキラキラとした世界があるよ。

そんなところでうずくまらずに、一緒にそこに行こうよ!」・・・・といったものでした。

二人から、”ぜんぜんちがうよ~!”なんて言われませんように。・・・祈り(^^;




(追記; この男女二人のユニット名であるsalad(サラダ)という名義での活動は、
現在休止中?のようです。
当時は、TBS系「どうぶつ奇想天外!」という番組のエンディング・テーマになるなど様々な方面で
活躍されてました。現在もそれぞれ活躍されていることと思います。
尚、このCD自体は、現在ではTSUTAYAかamazonぐらいでしか目にすることができなくなりました。原画も誰かに寄贈してしまったか、紛失してしまったかで自分の手元にないのが残念なのですが、あれ以来、今も続く冒険が、弱っちい自分を少しはたくましくしてくれましたし、そんな残念さも忘れさせてくれます。また、そうでなきゃならないと思います。
     
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shio

そうなの(--)
私も小さいときから壁に穴を開けて覗いていた世界があった♪
子供だったから・・それ以上は大きく出来なかったから・・
もっと大きくなったら向こうに行こう♪って
でも思ったより硬くて・・・
なかなか大きな穴が開かない(--)
見えているのに・・・行けない(--)・・・
げっ!
またまた巡業の旅に出なくては(爆
とりあえず足と腕、鍛えます・・・謎。。。
by shio (2011-02-13 10:20) 

とみっち

自分の作品が形として残ってるっていいですね☆
子供の頃の冒険する心を感じるステキなイラストで、
色使いも夢の中の世界のような
どこか懐かしさを感じられる作品ですね☆
by とみっち (2011-02-13 17:50) 

t-youha

shioさん、こんばんは。

子供の時は力が足りず、大人になったらなったで体も大きくなってるから
それなりの大きな穴をあけなきゃならず・・・・
だから、shioさんは、鍛えに巡業ですか(^^)
だったら僕は、中国雑技団の門をたたいて、軟体人間になれる技を
磨きに行きます。って、大人でそれはもう遅いかも(爆
by t-youha (2011-02-13 22:07) 

t-youha

とみっちさん、こんばんは。

懐かしい感じがするとは、よく言われまた。
それによって、各々の懐かしき子供の頃が思い出されると
いいなぁ~と思います☆
by t-youha (2011-02-13 22:10) 

may_r

こんばんは。

前回からの引き続きになりますが、子供の頃は扉を開けて『冒険』に飛び立つことに憧れていましたが、いつからか『自由』を求めるようになりました。仕事でも『冒険』ではなく『自由』が欲しいです。
訳が分からないですね(苦笑)
by may_r (2011-02-13 23:11) 

t-youha

may_r さん、こんばんは。

仕事に「自由」ですか。
ひょっとして、かなり大変なお仕事をなされているとか?
一口に仕事と言っても様々な仕事が存在しますので、なかなかその辺がうかがい知れないのですが・・・。
コメントを読んで、単に仕事の束縛から自由になりたいと言っているようには見えなかったので。こんなコメントになっちゃいました。

by t-youha (2011-02-14 21:44) 

y-kumiko

はじめまして^^
C.C.経由で来ました。
t-youha さんって強い信念を持っている人なんですね。
私は弱っちぃ人間なので、この文章で勇気を貰った様な気がします。
明日もまた頑張ろう!!
by y-kumiko (2011-02-15 00:00) 

t-youha

y-kumikoさん、はじめまして。

C.C.!参加なされてたんですね。いいなぁ~。

信念?いえいえ、たんに往生際が悪いというだけかもしれません・・・・。
僕も弱っちい人間なので、明日もまた頑張ります!!
ご来訪&nice!ありがとうございました。
by t-youha (2011-02-15 00:59) 

gillman

この絵の色合い、とてもいいですね。ぼくも「向う側」にとても興味があります。それは「時」の向こう側であったり、「壁」の向こう側であったり、「光」の向こう側であったり…
でもぼくの関心がある向う側はあくまでも「今」を写し込んでいる向う側なんだと思っています。最近、好きな画家であるハンマースホイの絵も「向う側」という観点から見ていますが、色々と面白いことが見えてきそうな気がしています。
by gillman (2011-02-15 09:50) 

扶侶夢

クライアントの思いを誠実に受け止めた“力作”ですね。いい仕事をした足跡は、こうやって残るものなんですね。現在のt-youha さんに繋がってゆくものが色々と発見できそうで面白いです。(勿論それはt-youha さん自身にしか分からないものですが)
ピュアな印象を、とても受けました。
by 扶侶夢 (2011-02-15 23:07) 

t-youha

gillmanさん、こんばんは。

図録お気に入りのナンバー1にハンマースホイの文字を見つけました。
クリックすると、一枚の静かな絵が・・・・
一見、サラっとスルーしてしまえるような風景なのですが、そこにハンマースホイという画家の見ている向こう側への誘いを見る者に強く感じさせますね。後姿といい、開かれた扉といい、それらを取り囲む空間といい・・・。
気づくと頭の中で、自分の部屋を見渡してましたよ。と同時にそこにいる自分の後姿も・・・・。僕は、初めてこの画家を知りましたが、機会を見つけてもっとこの画家の絵を色々見てみようと思います。
なんだか僕もハンマースホイの誘いに引っ張られてしまいましたね。gillmanさんがハンマースホイの絵に観た向こう側というものが、
”gillmanさんの「今」”をもっとより良く生きることに繋がる何かであるといいですね。・・・きっとそのような何かを絵に秘めた画家なのだろうと思います。

by t-youha (2011-02-16 01:36) 

t-youha

扶侶夢さん、こんばんは。

扶侶夢さんが、コメントを残してくれるのは、扶侶夢さんが立っているところから見えている、大きく広~い風景の中に自分がいる事の証のようにも思えて、ただそれだけで十分です^^。

ちなみにジャケットの絵、ビジュアル戦略の面で、販売促進に一役かったのかどうかという点では・・・・・エへへ♪
10年経ったので、勝手に時効とします!
by t-youha (2011-02-16 01:44) 

Toshi

おはようございます。
はじめまして、ご訪問&コメントありがとうございます。
難しい事はわかりませんが,いまだ自分はどうしたいのか?
どこへ行きたいのか?どうなりたいのか?自分は何なのか?って
50を前にまだ迷走してるオッサンです
よろしくお願いします。
次回C.C ご参加お願いしま~す\^^/
by Toshi (2011-02-16 07:55) 

るちまる

こんばんは^^
向こう側の世界・・・あまり考えたことがありませんでした。
向うもこっちも、みんな同じように、一緒くたにそこにあって、存在する、
みたいな、捕らえ方をしているような・・・気がするような・・・。
う~ん、もしかしたら、感受性が鈍すぎて、見えてないだけなのかも・・・?

ただ、私は、足りないものをひたすら渇望しているようです。
なんだろう、何が足りないんだろう。
きっと何もかもが、足りないのかも・・・。
by るちまる (2011-02-16 22:10) 

t-youha

Toshiさん、こんばんは。

僕も迷走の真っ只中です。
でも、C.Cという企画には迷う事なく参加したいと思いました。
次回のC.Cが今から楽しみです。
by t-youha (2011-02-17 02:11) 

t-youha

るちまるさん、おはようございます。

(昨夜、こちらのコメントがブログ上に正しく反映されなかったみたいで、再度書き込みました。)

ひょっとしたら、足りないと思ってるものは、すでにるちまるさんの目の前にあるんだけど、余計なものが多すぎて見えなくなってるだけかもしれませんよ。
そのように考えると、感受性が鈍くて~という話ではないのかもしれません。
るちまるさんの仰るように、世界はみんないっしょくたにそこにあるんだと思います。(その点で、るちまるさんは非常にクリアに見えているんだと思います。)
でも、それがとたんにハッキリしなくなってしまうのは、余計なものが世間に多すぎるからなんだと思うんです。
と同時にそれは心の中の余計なものが多すぎるのだとも言えるでしょう。
その余計なものを一言で壁と表現しました。見えなくなってしまう壁。
その壁が隔てることで見えなくなってしまった向こう側の景色・・・・。
向こう側と言ってもあまりに抽象的過ぎて分かりにくいかもしれませんね
by t-youha (2011-02-17 09:40) 

birdland

壁が心の中の曇ったようなものなら、きっとその向こうにあるものは「純粋な」何かなんでしょうね。一生かけて追い求めていく価値のあるものだと思います。
by birdland (2011-02-21 00:43) 

t-youha

birdlandさん、こんばんは。

コメントありがとうございます。
そうですね。
「純粋」というと少し恥ずかしいですが、クリアな視界で世の中を見てみたいですね^^;
気づいたら一生かけて追い求めていた・・・という感じであれば、まぁいいかな・・・という気もしてます。

by t-youha (2011-02-22 03:55) 

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